ジャニー喜多川の性加害問題が日本で(ようやく)大問題になりましたが、これのアメリカ版としてしばしば引き合いに出される問題として、ジェフリー・エプスタイン事件というものがあります。

ジェフリー・エプスタイン

ジェフリー・エプスタインは資産運用で莫大な富を手にした投資家で、10代の少女たちを何人も誘い込み著名人に売り飛ばしていたとして罪に問われた性犯罪者です。エプスタイン本人もジャニー喜多川同様、小児性愛者(こちらは女子ですが)で、性加害の当事者でももちろんあり、マッサージから性交まで様々な性的虐待を行っていたそうですが、どちらかというと著名人を巻き込んだ性的人身売買の罪でクローズアップされています。2019年8月に留置場で自殺しましたが、死後4年が経った今でも関係者に対する捜査は続き、「本当は生きているのでは」という陰謀論もしばしば浮上するほど、とにかく影響力の大きい事件です。

政財界を中心に並外れた人脈を持っていたことは有名な話。目立ったところでは、イギリスのアンドルー王子(チャールズ現国王の弟)、ビル・クリントン元大統領、トランプ前大統領、ビル・ゲイツ氏あたりですが、あくまでほんの一部です(注)。各地に拠点を持っていましたが、特にバージン諸島に島一つを丸ごと所有し、法の目の行き届かない所で著名人を招いてパーティーをしていたとも言われます。

少女たちの勧誘に主に当たっていたのは、エプスタインの恋人でイギリス富豪の娘、ギレイン・マクスウェル。モデルのスカウトなどと偽って近づき、最初はあくまで合意の上でエプスタインの屋敷に誘い込み甘い言動で少女たちを手籠にしていく「グルーミング」のプロでした。実際、被害少女からも「優しくていい人だった」という証言が出るほど。マクスウェルは後に起訴され2021年に有罪となり、今はフロリダ州の刑務所で禁錮20年の刑に服しています。

犯行がいつから始まったか。確実に事件化しているものでは2002年頃ですが、告発の中には1985年や1990年に性的暴行を受けたという証言もあります。被害者総数についても正確には分かっておらず、The CUTの2019年の記事によると、少なくとも延べ数十人から100人余りが被害者として特定されているようですが、「本当の被害者数ははるかに多いと見られる」とのこと。“自己責任”を問われるのを恐れる、あるいはどうせ権力でもみ消されると思って告発しなかったり、そもそも自分が被害者と思っていなかったりといったケースが多く、正確な数を割り出すのは不可能とされています。この辺りはジャニー喜多川の件とよく似ています。

細かい違いはあれど共通点も多いジャニー喜多川とエプスタインの犯罪。ただ、決定的に違うことが一つあります。

エプスタインは生きている間に起訴され、性犯罪者として認定されていたことです。

エプスタインの犯罪は生前、2度事件化されています。最初は2008年にフロリダ州、2度目は2019年にニューヨーク州で起訴されました。特に2度目は留置場に収監されているからすでに「確実に終身刑」と言われ、国外逃亡の恐れがあるのでどんなにお金を積んでも保釈が認められませんでした。その結果、自殺してしまいましたが、少なくとも生きているうちに法で裁く体制は整えたわけです。

日本でジャニー喜多川の生前、罪を問うことができなかったのに、アメリカのエプスタインにはそれができたのは、透明性が確保されているから・・・では決してありません。アメリカも日本が足元にも及ばないくらい権力者の間の癒着や忖度、裏取引にあふれています。

ではなぜ、エプスタインを生きているうちに追い詰めることができたのか。その点を次回、考察してみたいと思います。

(注)エプスタインの人脈について、メディアはコネクションの強さよりもネームバリューを優先して「この人も、この人も…」と報じるので、「一時期アプローチを受けて会ってみたけどそれ以来ほとんど会ってない」的な有名人も含まれていることがあります。実際、トランプ氏はプライベートジェットに乗ったことはあるそうですが、幼い少女に手を出すのは「自分の嗜好と違う」と言って懇意にしなかったようです。

投稿者 meeco

“ジャニーズ問題とエプスタイン事件 vol.1<アーカイブ記事>” に1件のフィードバックがあります

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